これは、
・災害発生時の心理・行動
・災害後に陥りやすい心理状態
・サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)からの解放
・災害ストレスからのこころの回復
についてまとめたものです。
目次
ご依頼を受けた防災講座や
防災ワークショップでは、
なるべく以下のような心の動きを
伝えるようにしています。
伝える目的は、講座を受け身ではなく
主体的・能動的に防災・減災について
考え、身につけていただきたいからです。
震災当時、
これをご覧になってくださっている
皆さんの中にも、大変な思いをされた方が
たくさんいらっしゃるかと思います。
普段の暮らしの中であれば、
寒い時に新聞紙などの身近なものを
防災・防寒グッズにすることは、
きっと多くの方が思いつくと思います。
ですが、有事や災害時、
多くの人がフリーズ(思考停止)
してしまうといわれています。
さらに、発災後は防災無線や
サイレンが鳴り響きますので、
さらに動揺したり冷静さを欠いてしまいます 。
防災講座等では、
「なぜ避難訓練が大切なのか」
「備える心が大切なのか」、
子ども達向けの講座でも伝えるようにしています。
災害やアクシデント発生時、
人間がとる行動は、だいたい3パターンに分かれると言われています。
「自分ごと」として、
もしものときに自分の身を守れる行動が
できるように「3つの中でどの行動を
とる人が一番多いか」考えてもらいます。
上記は、「サバイバル10-80-10理論」と言われるものです。
100人いたら、だいたい、
10:10:80の割合に行動がわかれます。
起こっては欲しくはありませんし、
考えたくないことではありますが
災害時は自宅や学校、誰かと一緒のとき、
周りに守ってくれる大人が必ずいるとき
だけに起こるとは限りません。
子どもが一人でお留守番してるとき、
登下校のときもあるかもしれません。
どんな時でも落ち着いて行動し、
自分の身を守れるような子ども達に
なってほしい、という思いを込めて説明しています。
また、それが、おうちの方の安心にもつながります。
(子ども達のまっすぐな視線を
見ながら話していると、震災当日に
泣き叫んでいたり、不安な表情で
おうちの人のお迎えを待っていた
子ども達の姿が思い出され、
声が震えてきてしまうのですが…。
そうならないように、この部分は
なるべく気持ちが入り過ぎないように気をつけています)
大きな自然災害を
目の当たりにして、
無力感にさいなまれまる方は少なくありません。
災害時に多くの方が感じる無力感には2種類あるように感じています。
①なすすべがない無力感
②救助や物資が届くまで何もできなかった無力感
①は、人間がコントロールすることは
むずかしいので、コントロールできない無力感といえます。
②は、救助がくるまでに
何かできることがあれば、
「コントロール可能」な無力感。
普段から新聞紙の活用方法を
目にしておけば、パニックや
思考停止状態になっても
「あ、そういえばこんな使い方
できるんだった」と思い出して
もらえるのでは…というよりも
思い出していただきたいのです。
それをきっかけに
「じゃぁ、新聞紙以外の物も
何かに代用できるのでは?」と、
できる行動が増えれば増えるほど、
無力感を軽減させることができるからです。
また、
有事のとき(災害、事件、事故)
難を逃れた多くの人が感じる
「サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)」。
「限られた環境の中でも、
できる限りのことをやれた」という思いは、
サバイバーズ・キルト(生存者の罪悪感)や
自己攻撃から自分を解放する助けとなるからです。
身近なもので作る防災グッズは、
「震災の教訓を伝える」だけでなく、
災害時のストレスケア、こころの回復にもつながります。
災害を防ぐ「防災」には、限界があります。
ですが、災害時の被害を
小さくする「減災」は可能です。
フリーズ(思考停止)にならずに、
すぐに行動できる人が増え、
災害によって悲しむ人、
大変な思いをする人が減りますように…。
一人でも多くの方に知っていただけたらと思います。
災害時は、
被災地だけでなく、被災地以外でも
「被災地の人の苦労を思うと…」
「大変な人がいるのにティータイムなんて…」
という思いが生じやすく、
暮らしの中での楽しみや
笑顔になることもためらいがちになります。
支援者は あえて、
下記にある「5つのT」などをして
災害時のストレスケアや
燃え尽き防止対策をしながら活動しています。
「あなたの風邪はどこから?」
というCMがありますが、
ストレス反応も人それぞれです。
気をつけていただきたのは
「ストレス反応が強く出る」=
「メンタル弱い」ではないということです。
ストレスの原因が同じ災害で、
同じような被災状況であっても、
ストレス反応は異なってきます。
《ストレス反応が異なるのは…》
■ものごとの捉え方や感じ方が人によって異なるから
■災害の前から、いろいろな問題を抱えているとき
■家族や周りのソーシャルサポートがえられないとき
■過去の経験・体験などで消化されていないものがたくさんあるとき
■感情を伝えたり、感情を認めるのが苦手な方
➡身体的なものや行動に表れやすい など…。
ストレスの原因や大きさ、
その時の体調、状況、環境など
その人の背景にあるものによって
ストレス反応の出方も、出てくる時期も違ってきます。
ストレス反応は、気分の落ち込みなどの
心理的反応だけでなく、身体的反応、
行動の変化などに表れます。
災害後、自分の感じていることを言葉で
伝えるのがむずかしい子ども達が
赤ちゃん返りをしたりするのは、
ストレス反応が行動となって表れているということです。
おうちの方も余裕がなかったり、
例えば兄弟がいたら、つい
「お姉ちゃん(お兄ちゃん)なんだから
しっかりして」と言いたくなるかもしれませんね…。
そのようなときは、
「地震が怖かったんだね」
「また地震がくるんじゃないかと
不安なんだね」と、お子さんの
言葉にできない思いをきちんと
受け止めていることを伝えてあげると、
だんだん赤ちゃん返りなどの
ストレス反応がおさまっていきます。
《災害時のストレスケアに役立つ「5つのT」》
①Team(仲間)チームで行動、一人で抱え込まない
②Talk(話す)気持ちを共有したり、雑談をする
③Tea(ティータイム)休憩時間を確保する
④Tear(悲しい、泣きたい想いを抱え込まず吐き出す)
⑤Time(時間)①~④の時間を意識してつくる
コロナ禍で「5つのT」のうち
むずかしいものもありますが…。
会えない中でも、
電話で声を聞いたり
メッセージのやり取りなどで
心の交流を感じられると、
ストレスが軽減されたり
心のエネルギーの充電ができますょ。
心を満たしておくことは、
避けたくなるような被災地の情報に
触れることができたり、
被災地の人に対して思いを寄せ続けられるエネルギーにもなります。
それが、「細く長い支援」につながるのではないかと自分にも言い聞かせています。
上記は、災害ストレスや
燃え尽き防止だけでなく、
暮らしのコミュニティや
心地よい職場環境に作りなどにも役立ちます。
🍀 🍀 🍀
この内容が、読んでくださった方の
防災・減災につながり、さらに
普段の暮らしや人生がより良いものに
なりますことを願っております。