• レジリエンス(折れない心・柔軟性)と自己効力感を高め、変化が激しい時代もしなやかに生き抜く

    ワークショップの目的|災害時に役立つ身近な「備え」

    岩手日報の記者さんと防災ワークショップをさせていただきました。

    《目的》
    災害時に役立つ身近な備え

    《身近な備えになるもの》
    1)新聞紙
    2)ビニール袋(ごみ袋)
    3)ダンボール

    上記の3つは、私にとって
    「減災お助け三種の神器」です。


    《この3つにこだわる理由》
    東日本大震災の発災当日、私が
    避難した先の体育館にあったものだからです。

    そのときに、活用できた方法は、
    ■子ども達にタオルケット代わり(新聞紙)
    ■底冷えする床に直に寝ていた子ども達の床敷マット(段ボール)

    迎えに行きたくても道路が
    浸水していたため、その日のうちに
    保護者と会えない子ども達もたくさん体育館にいました。

    雪がちらつく、とても寒い日でした。
    一緒に過ごした子ども達が
    風邪をひかないようにと思いながら、
    私ができたことは、たった2つだけだったのです。

    また体育館には、小中学生だけでなく
    地域の人もたくさんいました。

    避難所になった学校。
    職員室や校内を探せば、
    もっと新聞紙やダンボールがあったと思います。
    おそらく、ゴミ袋も…。

    それを活用すれば、
    子ども達も体育館にいる人たちも
    もう少し寒さをしのげたのでは…
    という後悔から、この3つにこだわっています。


    また、普段の暮らしで精一杯、
    いつ起こるかわからない災害のために
    備える余裕がない方も少なくありません。

    防災用品を備えていない家庭でも
    市町村指定のゴミ袋であれば、
    ほとんどの家庭にあるはずです。

    新聞を購入されている家庭であれば
    新聞紙もあると思います。

    ダンボールは、スーパーなどで
    無料でもらうことができます。

    上記の3つは、
    防災用品の備えがない家庭にも、
    また、避難した先にある確率が高い
    からです。


    新聞紙、ビニール袋、ダンボールで
    できるアイテムは、全て
    震災で本当に必要だったもの
    ばかりです。
      


    避難した先には、
    赤ちゃんからご高齢の方まで
    多世代の方がいらっしゃいます。

    この3つを組み合わせることによって、
    いろいろな場面で年代に合わせた使い方が可能です。

    例えば、避難所に設置される仮設トイレ。
    ほとんどの仮設トイレは和式です。

    膝が痛い高齢者の方や和式便器を
    またげない幼児、児童もいます。
    震災の時は仮設トイレの狭い空間を
    怖がる子ども達も少なくありませんでした。


    そのようなときは、
    ダンボールとビニール袋、新聞紙で
    簡易トイレを作ることができます。

    大きさの違うダンボールがあれば、
    大人用、子ども用、おまるなど、
    別々の大きさの簡易トイレができます。

    身近なもので防災グッズ体験コーナー(2019年)

    多くの人に伝えていただき心から感謝

    災害時は避難所に多くの人が集まり、
    スリッパが足りなくなることもあります。

    また、大人用のスリッパでは、
    子どもは歩きにくく転倒などの恐れもあります。

    1人ひとりが専用のスリッパを
    使用することで感染症予防にもつながると思います。


    岩手日報さんの紙面を通じて
    「スリッパの中敷き」のことや、
    各アイテムを有効に使う方法など、
    細かい点まで伝えてくださってとてもありがたかったです。
     

    動画を使って、作り方をわかりやすく

    岩手日報さんの紙面情報をより深く
    楽しむことができるスマートフォン
    向けのアプリで、スリッパの作り方も
    紹介してくださいました。

    ワークショップの後に、
    作り方を確認しながら動画を撮られたのだと思います。

    「どうしたら、より多くの人に
    伝えることができると思いますか」
    という質問を投げかけてくださった記者さん。

    「多くの人に新聞紙スリッパの
    作り方を知ってほしい」という
    記者さんの思いが込められているような気がしております。

    災害時、身近にある新聞紙等が
    さまざまな物に代用できることを
    伝えるのは、私ひとりでは限りがあります。

    たくさんの方に知っていただく機会を
    いただきましたこと、心から感謝申し上げます。

    減災お助け三種の神器で作れる|防災アイテム

    体験していただいた防寒アイテム

    ・マフラー
    ・背中にカイロ
    ・お腹に腹巻き
    ・レッグウォーマー

    ワークショップの間、記者さんは
    ずっと防寒アイテムを実体験してくださいました。

    この日、誕生した防寒アイテム!

    冬の講堂でのワークショップ。
    底冷えしてくるのを想定して、
    ズボンの上にはくズボン(防寒ズボン)も
    はいて防寒対策をされてきた記者さんも…。

    防寒アイテムで温かさを体感されて、
    途中から防寒ズボンなしで
    ワークショップを続けてくれました。

    時間が経つにつれて新聞紙を
    巻いているところと巻かれていない
    ところの体感温度が違ってきたようで、
    「太ももが寒くなってきた」と…。

    そこで発明されたのが、
    「太ももウォーマー」です!

    暖房もない会場で一定時間、
    実体験していただいたからこそ生み出されたアイテムです。

    新聞紙の温かさを確認するため、
    また「事実」を伝えるために、
    レッグウォーマーを片足だけに巻いて
    違いを確かめる記者さんも…。

    一緒にワークショップをさせていただいて、
    記者さんって記事を書くだけでなく、
    記事にするまでに泥臭いお仕事も
    たくさんされていることに気付かされました。
    (寒い中で体験していただき、ありがとうございました)

    防寒アイテムを体感してくださっている記者さん達

    新聞紙の防寒アイテムは、本当に温かい?

    新聞紙が防寒アイテムになることは、
    これまでのワークショップでも伝えてきました。

    が、残念なことに、新聞紙の温かさは
    体験していただかないと伝わりにくいという欠点がありました。

    でも、
    障子の温かさを知っている方であれば、
    紙一枚、新聞紙の温かさを
    少しは理解していただけるのではないかと思います。

    冷え性の私は、
    12月から3月くらいまで1日1個、
    ワンシーズンでおよそ120個(30個✖4か月)のカイロを欠かせませんでした。

    それなのに、2019年の冬から今日まで
    1個もカイロを使っていません。
    単純計算で、これまで150個以上の
    カイロを節約できたことになります(笑)。
    (もしもの時のために、念のため購入したり備蓄はしています)

    どうやって節約できたかというと、
    背中に新聞紙を入れているからです。
    (服と服の間に。インクが落ちても気にならない
    ダーク色のインナーと服ばかり着るようになりました(笑)
    洗濯でインク、落ちていると感じています)

    でも、目的は節約ではありません。
    常に新聞紙カイロをするようになった
    きっかけは、ワークショップで
    防寒に役立つことを伝えていながら、
    実際そのような状況になったとき、
    目の前の新聞紙を活用できなかったという反省体験からです。

    きっかけはこれですが、
    1年以上も続けられているのは、
    本当に新聞紙が温かくて
    手放せなくなったからです。

    《新聞紙防寒アイテムの活用例》
    除雪作業は力仕事。
    厚着をして作業すると、汗冷えすることも…。
    その場で着脱可能な防寒具は
    除雪作業のときにも役立つと思います。

    防寒アイテム以外で作ったもの|体験していただいたもの

    ・新聞紙食器
    ・新聞紙テント(子どもの遊び場、授乳室)
    ・簡易トイレ(車内用の緊急トイレとしても)
    ・クッション(底冷えと腰への負担軽減に)
    ・一人用こたつ(冷え対策)
    ・間仕切り(プライバシー空間をつくる)
    カッパ(ゴミ袋)
     ➡これは、他の地域(大槌町)の
    ワークショップで参加された方が震災当日、
    実際に活用した方法です。


    そのときはゴミ袋ではなく、避難先にあった
    肥料袋をカッパ代わりにして寒さをしのいだそうです。

    ですが、肥料袋には「防水性」はありますが、
    「透湿性」がないため、汗冷えをして
    とても寒い思いをしたそうです。
    (3月11日は、雪がチラついていましたが、
    地震津波が起こった日は、大雪・大雨が
    降らないという保証はありません)


    ご存知かと思いますが、汗冷えは低体温や命に関わります。
    防寒対策の秘訣は「透湿性」です。

    ■せっかく助かった命を守る方法
    「防水性があるビニール袋」の下に
    「吸水性がある新聞紙」を組み合わせる
     ➡これによって、汗冷え防止、体力温存することができます。

    周囲の反応|イヤな予感的中⁉

    掲載のことは誰にも伝えていませんでした。
    身近なものが防災に役立つことを
    多くの方に伝えていただけるだけで
    ありがたかったですし、
    気恥ずかしいので、できれば私に
    気づかないでもらえたら…なんて思っていました。

    掲載される写真も、新聞を
    拝見するまでどのような写真が
    載るのかわかりませんでしたが、
    記者さん達はずっと防寒アイテムを
    身につけてくださっていたので、
    その姿を見た読者の方から、
    遊んでいるような感じに
    誤解されなければよいな…と内心、思っていました。

    その不安は、見事 的中!

    記者さん達の上司や親御さんと
    同年代くらいの私の周りの第一声は、

    「ばぁ~!! なんとしたごったべぇ!
    この記者さん達、叱られなかったべがぁ?」でした。 
     

     
    パッと見た写真だけでなく、
    記者さん達が書いてくれた記事を
    ちゃんと読んでくれれば、真剣に
    取り組んでいたことが伝わるはずなのですが…。
    (周囲の反応に、正直、私もますます不安になってしまいました。)

    掲載当日もですが、
    1月4にも連絡してきたのが義兄。
    この日は、仕事始め。会社で改めて日報さんの新聞を見て、

    「やっぱり心配だぁ~!
    記者さん達、ちゃんと仕事しろ!
    って怒られたんじゃないかぁ…。
    俺だったら、まず怒るべな(笑)」と。

    会社では後輩たちを指導する立場でもありますし、
    記者さん達と同世代の親の立場としても心配になったようでした。

    記者さんにワークショップを体験していただいて

    仕事に対する真摯な姿勢|記者さん達から学んだこと

    「まず体験してみる」
    「疑問に思ったことは質問する」

    寒がりでも、
    ゆっくり食事もとれていなくても
    「大丈夫です!」と笑顔で答える。
    (ワークショップの前にチラッと見えた
    記者さんの姿。急いでお昼を済ませていました)

    緊張をほぐすためなのでしょうね…。
    写真を撮るときは防災以外の話も
    聴いてくださったり、
    質問力と傾聴力だけでなく、
    さりげない気遣いにも感心するばかりでした。

    甥っ子姪っ子と同年代の記者さん達から、
    たくさん教わることばかりでした。

    記者さん達の感想

    • 身近にある新聞紙を使って、即席カイロなどすぐに物理的な支援ができることを知れてよかった
    • 新聞紙を意識して車に入れるようになった
    • 当時の記者の心情はわからないが、恐らく「目の前に困っている人がいるのに、わたしたちは情報を聞いて伝えることしかできない…」ともどかしさを感じた先輩も多かったのではないか…
    • 余った新聞紙とビニール袋はあのまま車に積んである。何かあったときは実践したい

    鋭い質問と いただいた宿題

    • 新聞紙が防寒アイテムになることはわかったが、暑い時期に活用できる方法は?
    • 今回使ったビニール袋。地球温暖化防止などの視点から、レジ袋の削減が言われておりレジ袋がない家庭も増えていると思うが、その場合はどうしたらよいか?

      記者さんに対して失礼かもしれませんが、日頃から多様な問題意識をもってお仕事されていると感じました。

    親戚のおばさんのような立場から…

    コロナで去年は一度も会えなかった
    姪っ子と甥っ子と一緒にワークショップを
    させてもらったような感じで、本当に
    素で楽しい時間を過ごさせていただきました。

    記者さん達は年末年始、帰省されたのでしょうか…。

    姪っ子甥っ子を案じるおばさんの
    気持ちがわかるだけに、新聞をご覧に
    なったご家族や親せきせきの方々に
    「寒い中で体を張って、こんな体験させられて…」と、
    心配させてしまったのではないかと思っています。

    コロナ禍でご家族と会う機会も少なかったのでは…。
    そう思うと、私の写真はなくても、
    記者さん達の写真をたくさん掲載して
    いただけば良かったなぁと思いました。

    防寒アイテムは、災害時だけでなく普段の取材のときにも…

    海岸付近や屋外の取材のとき、
    背中とお腹(服と服の間)に
    新聞紙を入れていくだけでも、
    体感温度が違ってくるはずです。
    また、停電したときの防寒具としても…。

    先日の大雪交通渋滞などでの取材
    でしたら、取材した方へ新聞紙と
    ゴミ袋をお渡しすると、それを
    受け取った方も助かるかと思います。

    ■ちなみに、車内で役立つ新聞紙とゴミ袋の活用方法は…

    ・さまざまな防寒具
    ・簡易トイレ
    (新聞紙6枚で約500mlの水を吸収)
    ・プライバシー空間(窓に新聞紙)
    ・窓からの冷気を防ぐ断熱対策
    (窓に新聞紙)

    有事に取材しなければならない辛さを想像して…

    発災直後など
    混乱している体育館等で
    取材に応じてくれる人を探すご苦労、
    記事にするために、いろいろ
    聴かなければならない記者さんの辛さも
    あるのではないかと思います。

    また、取材したあとに
    避難所を去ってくる後ろめたさ、
    罪悪感のようなものもあるかもしれません…。

    そんなとき、
    防寒具になることを伝えながら
    新聞紙を手渡してもらえたら、
    被災された方も助かると思います。

    体温が奪われるような冷たい床に
    座らなければならない環境下。

    新聞紙の温かさが身体だけでなく
    心も温かい気持ちにさせてくれると思います。

    有事のストレスの軽減にもつながるかも…

    災害時は「報道関係者立ち入り禁止」
    という避難所も少なくありません。

    震災や大雨洪水災害後の記事等で、
    被災者に寄り添った取材をしてくれる
    日報さんのことを知っている県民や
    読者なら、快く取材に応じてくれる人も
    たくさんいるかと思います。

    ですが、今は
    新聞を購読していない世帯や世代も…。
    もしも、マスコミとして一括りに捉えていたら…。
    ときには、被災後のやり場のない思いを
    ぶつけられることもあるかもしれません。


    有事のとき(災害、事件、事故)、
    難を逃れた多くの人がいだく
    サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)

    私が勝手に抱く記者さんのイメージは、
    世の中の不公平や理不尽なことを無くすため、
    誰にも気づかれずに悲しんでいる人を救う。
    また、自分は黒子に徹して、
    世の中の人にスポットライトをあてる人。

    (そういう私も以前は「マスコミ」と
    一括りの印象しかありませんでした。
    申し訳ないです…。ですが、
    出逢ってくださった記者さん達の
    おかげで、イメージがガラリと変わりました)

    恐らく、
    目の前に困っている人がいたら、
    何かせずにはいられないと思うのです。

    有事の取材では、より強い無力感・
    罪悪感をいだかれるのでは…と思ってしまいます。

    そんなとき、取材用の車に
    数日分の新聞紙があったら…。

    新聞紙の活用方法と一緒に
    その新聞紙を避難所に
    置いてくるだけでも、
    助かる人がいるはずです。

    古紙であっても、読んで
    気分転換になる人もいると思います。

    スリッパ、防災保温シート、
    防寒具、簡易トイレなどは、
    災害時にとても役立ちます。
    が、その用途にしか使えません。

    でも、新聞紙とゴミ袋、
    ダンボールは様々な用途に使えます。


    職場、車に常備したり、
    取材時に新聞を携帯していただければと思います。

    新聞紙を活用することによって
    被災者の方の心身のストレスと
    記者さんのサバイバーズ・ギルトが
    少しでも軽くなってくれたら…と思います。


    以下のサイトに災害報道に携わる
    ジャーナリストの方向けの
    ストレス対応マニュアルがあります。

    報道人ストレス研究会「参事ストレスマニュアル」HP

    事前に知っておくことは、
    有事のストレス軽減と普段のセフルケアにもつながると思います。

    ワークショップ中も撮った写真の確認作業を忘れない記者さん達


    災害やコロナの報道…
    読者の私からは想像できない
    伝える立場の心苦しさを感じながら
    記事を書かなければならないときもあるかと思います。

    震災当時は、中高生だった記者さん。
    記者さんの伝えるニュースが
    明るく、楽しく、読んだ読者も
    心温まるような記事ばかりになるように
    そんな社会になってほしいと願わずにはいられません。


    仕事に対する真摯な姿勢や
    記事からでも伝わる郷土愛に、
    岩手の新たな魅力に気付かせていただいております。
    これからも毎朝、学ばせていただきます。

    読者に毎日、貴重な情報を届けてくれる
    記者さんもエッセンシャルワーカーです。
    どうぞ お身体おいといください。

    みなさんのチャレンジ精神を見習って、
    今後も身近なもので防災・減災に
    役立つアイテムを”発明”(笑)
    できるように精進してまいります。

    岩手日報の記者さん、
    本当にありがとうございました。